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【不登校の原因】

①二次的原因と根本原因

不登校の原因は、本当に人それぞれです。
しかし、私は今まで300人以上の不登校経験者に会った経験から、根本的なところは大きく3つに分けられる、またはそれらの複合型であると考えます。
その前に、文部科学省の統計では「不登校になったきっかけと考えられる状況」として 19 項目が挙げられています。
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実際に、私が公立中学校の相談員として勤務している時も、この項目に当てはめて、来室者の記録を取ることが決められていました。
教育委員会はこの数を集計して、学校ごと、市ごとの不登校生徒数や、その原因の統計を出しています。
そこで私が感じているのは、この文部科学省によって分類されている「不登校になったきっかけと考えられる状況」は、「二次的な原因」も含まれているということです。
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例えば、ある中学生の不登校になったきっかけが「学業の不振」だと分類されたとします。
しかし、学業不振を改善するために、学習サポートなどを行って、学力がアップしたところで、不登校が解決するとは限らないということです。
もっと言うと、学力がアップして、テストではある程度の点数が取れるようになり、無事に高校受験にも合格したとします。
しかし、進学先の高校で、入学式の翌日から再び欠席が続き不登校状態に逆戻りする、という例は珍しくありません。
この場合は、「学業の不振」は二次的な原因であると考えられます。実は、そのさらに奥に根本的な原因があり、それを解決しない限り、環境が変わっても不登校と同じ状態を繰り返してしまうということです。
では、結局のところ「不登校の根本的な原因」とは何なのでしょうか?

②不登校の根本的な原因
私は、大きく分けて以下の3つに分類されると考えます。
 
1、自己肯定感の低下
 
2、家庭の不調和の表れ
 
3、学校教育では伸ばしきれない個性
それぞれ、詳しく説明していきたいと思います。
1、自己肯定感の低下
「自己肯定感」という言葉は、最近よくに耳にする方も多いかもしれませんが、不登校という現象にも大いに関係しています。

③そもそも、不登校とは?
文部科学省の定義では、
とされています。
みなさんは、「不登校」という言葉を聞いたときに、それに付随してどのようなイメージを抱きますか?
実は、それが1番重要なのです。
「うちの子がなったらどうしよう」
「手のかかる問題児」
「うちのクラスでは起きて欲しくない問題だな」
「ただのサボりでしょ」
「親のしつけがなってない」
「お先真っ暗」
とにかく、暗い、ネガティブな、マイナスな印象を持つ方が多いのではないでしょうか?
私は、「不登校」という現象自体は良い悪いということでは測れないと考えています
学校を長期間休むことが、その子にとって良い場合もあれば、悪い場合もあるからです。
それよりも問題なのは、
「不登校は悪いことだ。本人の人生にとって、家族にとって、学校にとってマイナスだ。」
と、本人や家族、学校の先生が思いこんでしまうことです。
不登校になった本人は、自分はダメな人間だと思い込む。
不登校の子を持つ親は、自分の子供はどうしようもないと思い込む。自分の子育ても失敗したと思い込む。
不登校の生徒をもつ先生は、手のかかる児童生徒だと思い込む。自分の生徒対応がダメだったと思い込む。
これらの思い込みが、最も危険であり、最も問題です。
逆に言えば、不登校と言われる状態にあっても、
自分は必ず充実した人生を送ることができるはず。
我が子は必ずこの状況を抜け出して、自立していくはず。
生徒は必ずこの経験を糧に、立派に成長するはず。
このように本人や周りの人々が“本気で信じる”ことができたならば、「不登校」は全く問題ではなくなるのです。
残念ながら、そのように思える方は大変少ないのが現実です。
特に日本は、暗黙のルールというか、みんなが確実に通るレールを踏み外すことに、強烈な不安感をもつカルチャーがあります。
ですので、「みんなが言って当たり前」の学校に行けないとなったら、この世の終わりと言わんばかりの衝撃を受けるのです。
でも、それは、その子にとっては必ず意味のある過程なのです。
そのことを、本人と周りの人々がどれだけ信じて、サポートして、前進することができるかがとても重要です。

不登校の解決方法

欠席状態が続いてくると、「本当に学校に行ける日がくるのだろうか?」「このままでは、将来が心配…」と、とにかく不安に思われるのではないでしょうか?

不登校を解決するためには、以下のステップが必要です。

STEP1 受け入れる

まずは、ご本人が安心して家にいることができるようにします。
具体的には…

  • 学校を欠席することを責めない。
  • 学校に行かない理由を聞き出そうとしない。
  • いつになったら行くの?と期限を決めない。

なぜなら、ご本人は口に出さないかもしれませんが、すでに十分学校に行かなければならないと思っています。学校に行けない自分を責めています。それでも行けない現実があるのです。
その状態のご本人に対して、登校を促したり、叱ったり、励ましたり、無理やり背中を押したりしても、余計に混乱するだけです。
「家の居心地が良くなると、外に出なくなるのではないか?」と心配される方がほとんどなのですが、実は逆なのです。外の世界(学校)に安心できる場所がないから欠席しているのに、家にも居場所がなかったら本当に孤独な世界になってしまいます。本人にとっては命の危機とも言えるでしょう。
また、今までに300人以上の不登校経験者にあってきましたが、学校を欠席している自分を責めたことがない人はほとんどいません。

ですので、ご本人の「理想」(学校に行きたい)と「現実」(学校に行けない)のギャップがあるということを、家族が認めてあげてください。せめて、家にいる時は安心して過ごせるような環境を与えてあげてください。

例えば、以下の様なことが「認める」ということにつながります。
・朝、登校するかしないか聞いても良いが、あまり感情的にならずに聞く。もし本人が「行かない」と言ったら、「わかった」とだけ言う。
・欠席しても落胆しない。
・叱ったり責めたりしない。
・学校に行けない原因を探り出そうとしない。
・本人の希望がないのに、友達や先生を家に呼んで無理やり会わせようとしない。
(こちらがお願いしなくても相手が来てくれる、という場合は別です。)
・本人の希望がないのに、病院(カウンセリング等)へ連れて行かない。
・学校に行ったら〇〇をしてあげる(買ってあげる)という条件をつけない。

そして、学校に行っていたときと変わらない生活を心がけてください。
具体的には…
・「おはよう」「おやすみ」などのあいさつをする。
・ご飯を一緒に食べる、または手を付けないとしても本人の分を用意しておく。
・保護者の仕事や用事で家を空けても良い。(気分転換の外出は積極的にしてください)
・必要以上に甘やかさない。(欲しいというものを全て買い与える、言いなりになる等)

STEP2 生活にメリハリをつける

STEP1を経て、学校を休んで家にいる生活が定着してきて、欠席が続いた当初よりは家族の雰囲気もなんとなく落ち着いてきたと感じたら、STEP2へ移行しても大丈夫です。(ご本人の状況によっては、STEP2へ移行するまでに1~3ヶ月くらいかかる場合もありますので、焦らないでくださいね。)

ご本人としては、「学校に行かなくても大丈夫」という状況になると、次のような心境になることが多いです。
・それでも、学校に行けない自分を責めている。
・明日こそは行かなければ…と毎日のようにプレッシャーを感じている。
・やることがないので時間を持て余す。
・特に同年代の仲間から「置いていかれてしまう」という焦りがでる。
・将来を悲観する。

つまり、日中学校に行かずに家でゴロゴロしていたり、スマホやゲーム、漫画に熱中していたり、さぞ楽な毎日を送っているだろうと見えるかもしれませんが、内心はそんなに単純ではないということです。
むしろ、日々欠席日数が増え続け、学力の差も開き、このままではいけないことをわかりながらも何もできない毎日に、不安と焦りと苛立ちはつのるばかりです。そこから逃げるために、スマホ・パソコン・ゲーム・アニメ・漫画などに依存していくパターンがとても多いのです。

この段階で意識するべきことは、
①生活のリズムを整える
特に昼夜逆転しないことと、できるだけ体力低下を防ぐことを意識してください。
なぜなら、この後「学校(または家以外の場所)に行きたい」という気持ちが芽生えた
ときに、大きな壁となって立ちはだかるのが「昼夜逆転」と「体力低下」だからです。
日中は人目が気になって外に出られないこともあると思いますので、保護者の付き添
いのもとで暗くなってから近所を散歩したりするのも良いと思います。「お母さんが
ウォーキングしたいから一緒に来て」という形で誘うのも良いですね。家族ぐるみで本
人に付き合う場面も増えてくるかもしれませんが、そのようにして「一緒に乗り越えよ
う」「あなたの味方だよ」というメッセージを伝えるのも大切です。

②ある程度の決まり事を設ける
「昼夜逆転」を防ぐことと、「暇な時間を作る」(この“暇”が次のステップにつながる
大切なポイントです)ために大切なのが、スマホ・パソコン・ゲーム・アニメ・漫画な
どの時間を決めることです。本当に、理解の範囲を超える時間ゲームをし続けたり、ア
ニメを見続けたりすることがあります。そんな時は、いきなりすべてを取り上げるので
はなく、利用時間を話し合いのもとで決めてください。形としては、本人が決めた約束
時間を守らせる、というのがベストです。ただし、「家庭のルール」として常識的な範
囲(夜21時~朝9時はパソコン・スマホ・ゲーム禁止など)を提示するのは良いと思
います。その上で「1日〇時間まで」「ご飯の時間はゲームを必ずやめて、家族と食べ
る」「パソコンはリビングのみで使う」など、簡単に守れそうなところから約束をスタ
ートしていくのが良いと思います。
そこで気を付けたいことは、「約束を守ることができたら〇〇を買ってあげる」など
の条件を付けてはいけません。「ごほうび」がある方が約束を守るように見えるかもし
れませんが、1度これを始めると要求がエスカレートし、このループから抜け出すのは
本当に大変です。

③家族の役に立つ感覚を味わわせる
人間は、「人の役に立つ」ことで喜びを感じるようにできています。簡単な家事で良いので、本人に「お願い」する形で手伝ってもらうのが良いと思います。例えば、「毎週〇曜日は用事があって帰宅が遅いから、その日だけお風呂掃除をしてもらえると助かる。」「明日、荷物が届く予定なんだけど、どうしても出かけてしまうから宅配便を受け取ってほしい。」「手荒れがひどくて痛いから、今晩の洗い物をしてもらえたら嬉しい。」といった形がお勧めです。ただ単純に「〇〇をして」というよりは、「こういう理由でできないから、手伝ってもらえると助かる」というように、「自分がこれをしていることで役に立っている」と自然に感じることができます。もちろん、実際に手伝ってくれた時には全力で「本当に助かったよ!!」「ありがとう!!」と感謝の気持ちを伝えてください。
不登校で生活範囲が狭まっていると、一見たいしたことがないように感じられるこのようなやりとりさえ、とても良い刺激になります。それまではできるだけ外部の刺激から心身を守るために「心を動かさない」ようにと、無意識に自己防衛を働かせているはずです。少しずつ、このようなプラスの感情の動きが出るようなやり取りが家族内で増えてくると良いですね。「人の役に立つ喜び」は、人が人らしく生きるために大切な感情なのだと思います。

STEP3 家庭以外の居場所をつくる

ここにきて、ようやく心身のパワー的にマイナスからゼロの地点に立てるようになった、というイメージを持ってください。また、ここまでのところでご本人とご家族との信頼関係がきちんと築けていればいるほど、ここから先は早く進みます。(もちろん、焦りは禁物です。いつでも「前のSTEPに戻っても大丈夫」と大きく構えていると安心感が伝わります。)

ご本人の心身と生活が安定してきて初めて、外の世界に目が向き、「これ、やってみようかな」という気持ちが湧くものです。
例えば、図書館、買い物、外食、映画、家族での外出など、本人が行きたいなぁと思う場所から外出の機会を増やしてあげてください。同じ学校の生徒・保護者に会う可能性のある地域や、本来ならば学校に行っている時間帯には外出したくないと言う場合も多いと思います。その時は、その要望を聞いて、土日や夕方以降に、少し離れた街へ出かけるのが良いと思います。この段階では、「家以外の場所で、安心して気分転換する」ことができるのが大切です。ここで感じる「楽しい」という気持ちや開放感が、次のステップに進むためのパワーとして蓄積されていきます。

そして、単発の外出が安定して行えるようになったら、習い事、塾、スポーツジム(市の運動施設)、地域団体などのような定期的に足を運ぶような場所へ所属することを勧めても良いと思います。ご本人に趣味ややりたいことがあれば、是非そこから関連させたものへ通わせてあげてください。また、学習の遅れに対する不安はほとんどの子が持っています。このタイミングで、個別指導型の塾や、家庭教師を始めるのも良いと思います。
全てに共通する大切なポイントは、「本人がやりたいと言ってから始める」ということです。ここで保護者の焦りが出てしまい、本人の意志を無視する形で何かを始めさせようとすると、、

矢野 梢
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